個展開催のお知らせ(工芸青花)

昨年の工芸青花(新潮社)での個展に大変ご好評をいただき、
今年も開催させていただく運びとなりました。

今展では古代の騎馬遊牧民族「スキタイ」をテーマに馬具を中心とした青銅器をご紹介いたします。
ロシアに渡ってから5年半の集大成とも言える内容だと思います。
スキタイと関連のある青銅器文化や交易を行なっていたギリシア、加えてローマの工芸品も一部展示いたします。
会期に向けて徐々に品物をご紹介いたしますのでご覧ください。

日時:7/31(fri)-8/9(sun)15-19時 *7月31日は青花会員と御同伴者1名のみ
会場:工芸青花
住所:東京都新宿区横寺町31-13 一水寮101(神楽坂)

今展によせて

古代中央ユーラシアの騎馬遊牧民族の中で、最も知られているであろうスキタイ。紀元前9世紀から前4世紀頃にかけて、黒海からシベリアにいたる広大な文化(スキト・シベリア文化)を形成しました。スキタイがペルシア軍を撃退したことから、その戦術と機動力にギリシアの歴史家ヘロドトスが強い関心を持ち、著書『歴史』にスキティア(黒海地方のスキタイの地)について記したこともよく知られています。スキタイ文化の起源は、東アジア(中国、モンゴル、カザフスタン)、西アジア(イラン)、北アジア(シベリア)など諸説ありますが、それは各地の遺物に見られる動物意匠と、スキタイのそれとの類似が根拠とされています。スキタイ美術には、広域にわたる文化伝搬の痕跡が宿っているのです。

スキタイ美術というと黄金製品ばかりが強調されがちですが、本拠地の黒海周辺では、ギリシアとの交易によってもたらされた装飾品がより多く見られます。一方、今展で紹介するような馬具を中心とした青銅器は、展覧会等ではあまり注目されないものの、じつはスキタイ独特の動物意匠が色濃く見られる品々です。複数の動植物が溶けるように混在する様式は、自然と深く関わった彼らの知的欲求に応えるものだったように感じています。

初めはお客様の要望で探し始めたのですが、スキタイについて知るには、ロシアに住み、ロシア語を話すことが大いに役立ち、古美術商としてのアイデンティティを確立することにもつながりました。黒海地方に行けば何かあるはず──とウクライナまで足を伸ばし、そこで得られた経験が、いまの私の「現地で学び、探す」スタイルのルーツです。世界各地を飛びまわり、さながら遊牧民のような日々ですが、願わくば皆さんに歴史と文化の魅力を運ぶ役割を果たせたら、と思っています。

工芸青花のページはこちら

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